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性魔術・髑髏本尊秘法の謎


邪教立川流の研究


水原堯栄=著
定価 3,400円+税
A5
判 並製

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立川流とは、鎌倉時代に始祖・仁寛が「男女陰陽の媾合をもって即身成仏の秘術となし、成仏得道の法これ以外になし」とする宗義をうちたて、南北朝時代に文観上人が天地和合不二所生の秘法を大成した真言宗の一流である。「真言立川流」ともいう。経典は般若波羅蜜多理趣品、空海が将来した理趣経で、荼枳尼天を拝する。立川流は、文観が伊豆に配流された後、性交を通じて即身成仏に至ろうとする教義のため北朝側に邪教として禁圧され、典籍は焚書されてしまう。
 この立川流ほど毀誉褒貶にまみれた宗派は無いと思われる。本来、人間に備わっている性欲を浄化し、生活の芸術化、人生の霊化をなしとげ、即身成仏に至ることが主眼であったにもかかわらず、男女交合や髑髏本尊の作法などが、必要以上にセンセーショナルに取り上げられているのではないか、と著者も私見を述べている。
 髑髏本尊歓喜法の猟奇性については、文献には確かにその作法の詳細が触れられているものの、本来の教義といささか乖離しているのではないかという説もある。現在残存する資料『受法用心集』などは、立川流を排撃した側の文献であることからその可能性が取り沙汰され、また、仮にこのような作法が実際に行われていたとしても、性的に落ちぶれた無頼の徒が、より淫邪なものに改変してしまった可能性もあるのではと言われているのである。
 本書は、『立川邪教とその社会的背景の研究』(守山聖真著)と双璧を成す立川流の学術的な研究書である。各種文献を引用し淡々と論評している風な為、学究の徒は「邪教」「淫邪」などの言葉に惑わされず、さらなる真摯な研究の途につけるであろう。