大正期の霊術家・霊術団体を辛口で批評!
破邪顕正 霊術と霊術家
霊界廓清同志会=編 A5判 並製
4,180円(本体3,800円+税10%)
昭和3年刊の本書は、大正時期の霊術家(精神療法家)の総合ガイドブックである。霊術家、療法家を約300名をリストアップし、そのうち138名について面白おかしく寸評を加えながら、その団体の会規定を網羅している。近代霊術の勃興期の最中において同時代的に林立する霊術家たちを紹介した資料としてきわめて貴重であり、当時としてはきわめてエポックメイキングなものでり、そこには時代の鼓動が息づいている。
それでは、どこの誰が、奇特にも「霊術界の旗振り」を名乗り出たのか?本書の編者は「霊界廓清同志会編」となっているが、実は「清水式精神統一法」で著名な清水芳洲(英範)の著作とされている。本書には「清水英範」の項目もあるが、本人の著であれば、なるほどと思われるところもままある。
本書サブタイトル「破邪顕正」、編者名に冠せられた「霊界廓清」から読み取れるように、著者は、玉石混淆の霊術団体からインチキ霊術家(催眠術家も含む)を排除し、将来的な「霊術界の再編」を意図していたように思える。「悪貨は良貨を駆逐する」ため、特定の個人・団体に対して、あえて舌鋒鋭く辛い評価をつけているところもある。中には姓名判断からの寸評もあり、それはそれで占術家の方々には興味深いと思う。
本書の真骨頂は、諧謔味のある批評だけにとどまるものではない。そこでは霊術家同士の泥臭い人間関係(派閥)や、霊術の優劣以前の毀誉褒貶の応酬などのエピソードも遠慮なく言及され、当時の霊術界の内幕がうっすらと透けて見えるところにある。現在ではもはや神格化されつつある霊的先達も多いなか、当時の生き証人の生の声に触れることによって、リアルな霊術家の本質を垣間見ることができるのである。
もちろん、著者からの一方的な見立てなので、話半分として受け止めるべき点も多々ある。評する人によって見方が180度違うのは世の常である。霊術団体の「過大広告」や霊術家自体の「品性下劣」を批判している箇所もあるが、それにしても、霊術団体の過大広告は信者獲得競争の負の一面であろうし、「品性下劣」であろうとも霊術の技や効果において抜きんでいる者もあろう。
なにぶん362頁に138人の霊術家を押し込んでいる関係上、各霊術自体の比較考証まで充分に論が及んではいない点は少し残念ではある。しかし本書によって各霊術家の技のウリや特徴をざっくり知ることはできる。本書を手がかりに、多くの霊術家の著作に触れることで、自ずと霊的視野を広げることができると思う。霊学・霊術の道は「温故知新」であり、また出来るだけ多くの霊術書に触れることである。本書がその契機になれば、版元して望外の喜びである。
【主要な霊術家】太字は弊社刊行著作物あり 中村天風(統一哲医学)、田中守平(太霊道)、渡辺藤交(日本心霊学会)、中村古峡(日本精神医学会)、松本道別(人体ラジウム学会)、品田俊平(心教療院)、村上辰午郎(東京心霊研究会)、西村大観(心王教本院)、清水芳洲/英範(修霊教化団)、片桐正雄(健寿修養会)、横井無憐(内観療)、田宮馨(帝国神秘会)、江間俊一(東洋人道教会)、浅野和三郎(心霊科学研究会)、溝田象堂(修霊道)、藤田霊斎(調和道協会)、柄澤照覚(神誠教会)、藤田西湖(修霊鍛身会)、川上又次(日本心象学会)、加藤泰山(東亜哲学院)、岩田篤之介(本能会)、桑田欣児(帝国心霊研究会)、古屋鐵石(精神研究会)、秋山命澄(浄化会本院)、檜山鋭(尚弘会)、高木秀輔(霊道救世会)、濱口熊嶽(大日本天命学院)、宇佐美景堂(神霊学会)、松原皎月(洗心会)、小熊虎之助(変態心理相談所)、大山霊泉(修霊会本院)、石川素禅(天玄堂本院)、藤田宣彦(誠光教)、栗田仙堂(リズム学院)、石抜霊覚(霊感透熱学会)、三田光一(帝国自覚会)、栗原伊豆彦(神道光徳教)、壹色春峰(生化医学会)、石井常造(生気療養研究所)