相学に興味を持つ方で水野南北の名を知らぬ者はなかろう。万が一、知らない方は、黙って本書を購入し、昔から知っていたような顔をすればよろしい。南北は 19歳の時に暴力事件を起こし、半年間の入牢生活を体験するが、そこで囚人の容貌と世間の人の容貌に違いのあることを発見し、人相に興味をもち、出所後は 髪結いを三年、風呂の三助を三年、火葬業者を三年続け、あらゆる階級の人間に接し、研鑽を重ね、人相骨相を極め、さらに相学の淵源は仙術にあるを悟り、奥 州金華山で師仙と出会い、その蘊奥を究めたと言われている。実際、南北は食養や呼吸法の方面でも大家であり、禊教の井上正鉄などに大きな影響を与えてい る。本書はその水野南北の相学を大成した「南北相法」を明治41年に弟子たちが活字に起こし、出版した貴重な資料。本書を読むと、南北の相学は、単に顔相 のみならず、歩く様や座るかたち、寝ているときの相などからの判断も含むもので面白い。むろん相学にはさまざまな判断法や流派があるが、まず絶対に手許に おいておきたい一書である。それにしても安い! お買い得!