清浄を第一とする神道におきましては、いずれの流派であろうと、切り火祓いはなくてはならぬ基本的な所作であります。そのように頻繁にふだんから使う神具であればこそ、やはり、お道に謂われのあるお道具を揃えたいものですが、こと火切り金に関してましては、種類があるわけではなく、残念な思いをしてきました。ライターですら、ダンヒルでとかブランドがあるのに、大切な神事のお道具になりますと、とおりいっぺんのものしか入手できないというのは、誠に恐れ多いことであります。
そういう事情もあって、かねてより大宮先生におかれましては、ご自分でご愛用の宮地水位先生伝来の龍形火切り金を、なんとか再現し、後世にこれを伝えたいと心血を注いで来られました。それがこのたび、ようやく実現し、有志の方にお頒けすることになりました。先生みずから詳細なスペックをご指示されての制作であり、ご修斎頂いての頒布でありますから、この火切り金を所持されるだけで、お守りとなり、神界と気線が結ばれます。
なお、この龍形火切り金は伝統的な鍛冶の技法で、鋼をひとつひとつ手造りで焼きあげたものです。このような技法は後継者もなく、消滅寸前ですので、手持ちの在庫がなくなりますと、同品質のものを二度と頒布できない可能性もあります。あとになって、あの時に買っておけばよかったと後悔せぬようお願い申し上げます。