戦後まもなく、物理学者・電気技術者であった楢崎皐月は、六甲山系の金鳥山で偶然出会った「平十字」と名乗る猟師(父親が「カタカムナ神社の宮司」と称する)から、超古代より伝わるカタカムナ文献なるものの存在を知ることになる。そこに書かれていたのは、円と直線で作られた幾何学的な文字(八鏡化美津文字)で、驚愕した楢崎は、平十字に請うて許可を得、その文献を書写し、その後、永年の研究によりカタカムナ文献の解読に成功したとされる。
時を同じくして、楢崎は戦後の食料難を乗り切るために新しい農業技術の開発に携わり、その一環で日本各地の大地電位の測定を行った結果、大地の電気分布によって土地の良し悪しが判別できることを発見していた。これによって、カタカムナ文献に記されていた「イヤシロチ」、「ケガレチ」などの概念と通底するものがあると感得した楢崎は、さらにカタカムナ文献から、現代の自然科学においては欠落している自然の摂理についての複雑な考察を進め、「宇宙対向の静電気」、「相似象」などの基本概念についても、さらに研究にのめりこんでいく。本書は、カタカムナ文献に見られる大宇宙の法則のうち、重要なものを楢崎が〔静電三法〕とし、まとめたものである。
「植物波農法」…静電気と自然界の電磁場の作用によって大気と大地の電位調整を図り、植物の生育環境を改善し、農薬・化学肥料を多用することのない理学的な農業技術を目指す。
「物質変性法」…物質の外部環境を静電的に変化させることにより、物質の諸性質を極めて省エネルギーで目的に合うように変え、工業の原材料や製品の質の改善を図り、新しい工業生産技術を確立する。
「人体波健康法」…周辺環境の電気と人体の電気現象とのかかわりから、周辺環境の電気的な条件を改善し、本来の健康体をつくる「建設医学」を提唱した。
日本がようやく敗戦から立ち直りつつある時代に書かれたものであるが、次代の科学技術のあるべき姿を展望したものになっており、全く古さを感じさせない。やや専門的な内容になるが、楢崎皐月の遺した貴重な基本文献であるので、版元在庫が無くなってしまわないうちに、お早めにお買い求めください。