本書は、神社の由緒を調べたり、神社や祭神の変遷を知る資料としてきわめて貴重。どこかに参拝に行くときには、必ず目を通すのがよいだろう。
神仏分離が一段落した明治4年に当時の政府は府藩県に管内神社の調査を命じたが、これは当時の現状によって社格を定めるためで、延喜式式内社であっても衰亡していた神社は無視され、無格社となる神社もあった。そこで、明治7年に教部省(宗教行政を管轄する当時の役所)は各都道府県にあらためて式内社の調査を通達し、ようやく明治9年末に一応の完成を見たのが本書の原本である。この資料は内務省に保存されたが閲覧に不便であり、大正11年に刊行計画がたてられたが、印刷途中の大正12年9月に関東大震災が起こり、原本は焼失した。しかし幸い原稿が印刷所に残り、なんとか刊行されたものを、今般弊社で復刻することとした。