高島呑象が編纂した、ありそうで無い易学の字典
易学字典
高島嘉右衛門・柳田幾作=著 A5判 並製
4,180円(本体3,800円+税10%)
『易経』を紐解くにあたって、易学特有の文字の意味を通常の字典で探ることは不可能に近い。もちろんかの『大漢和』においても十全ではない。本書においては、易学特有の文字を「天文」「地理」「時令」「人品」「身体」「弁名」「器財」「衣服」「飲食」「宮室」「人物」「数量」「禽蟲」「草木」「畳字」の15門に分け、彖爻に用いる文字を列記し、その他、虚字・助字・実字などの経伝に散見するものは、通常の字書のように部首ごとにまとめてその意味を解説している。たとえば、「天文」に属する項目中の「沫」という字には、「日中見沫ハ、豊ノ九三ノ爻辞ニ出ヅ、沫ハ斗杓ノ後星ニシテ小ナルモノナリ」とある。ここで、「雷火豊」の九三の爻辞中に見られる「沫」の意味が明らかになり、他所で出てきた場合にもその意を理解して全体を読解できるようになる。高島嘉右衛門と柳田幾作という易の大家の編んだ、古書市場でも非常に入手しにくいレア本ということもあり、『増補 高島易断』を始め、易を真面目に勉強されておられる方に副読本としてお薦めする次第である。